米国債11月は金利低下で開始
FRBが2回連続でFOMCの金利を据え置いたことに伴い、米国債利回りが逆転し、先週、世界の株式市場は上昇しました。米国では、金利のピークが近いとの期待が高まり、株価が上昇し、主要な株価指数が週をプラスで終えました。欧州では、ユーロ圏のインフレ率が予想を下回ったことから、債券利回りが低下し、主要株価指数の上昇を支えました。日本の株式市場は円安が株価を押し上げ、上昇傾向にありました。一方、中国では予想を下回る経済指標の発表が株価に下落圧力をかけました。
先週、FRB、イングランド銀行、日本銀行の中央銀行総裁会議が相次いで開催されましたが、主要な政策決定はほとんど行われませんでした。日本銀行は、イールドカーブ・コントロールの枠組みを解体するための小さな一歩を踏み出しました。FRBとイングランド銀行は金利を据え置き、さらなる引き締めを否定しなかったものの、FRBではパウエル議長が9月のドット・プロットについて、金融環境が引き締まる中でのその適用について疑問の声を示唆し、結果的には緩やかなハト派的な印象を与えました。一方、イングランド銀行は政策を制限的なものとし、2%のインフレ率への調整には十分であるとの見解を示しました。全体として、投資家は主要な先進国市場の中央銀行が今後数ヵ月間は政策の変更をしないであろうと予想しており、この評価に同意する向きもあります。また、冷え込んでいる労働市場環境や欧州の景気モメンタムの低迷なども考慮されています。
10月の米国の非農業部門雇用者数は、コンセンサス予想の15万人を下回り、雇用の伸びが鈍化していることを示しました。失業率はわずかに上昇し、3.8%から3.9%になりました。平均時給の伸びも遅く、前年同期比で4.1%増(前月比0.2%増)と、過去2年間で最も遅いペースとなりました。雇用統計の軟化、FRBの利上げ打ち切り観測の高まり、長期国債の発行予定額の予想未満などから、債券利回りは先週に後退し、米国の10年債利回りは30ベーシスポイント以上低下しました。2023年末の10年債利回りが4.5%から、2024年末には3%までさらに低下するとの予想があります。