投資資産として生命保険及び年金 / Life Insurance and Annuity

米国生命保険管理学会(LOMA: US Life Office Management Association Inc)において生命保険は「被保険者が死亡した時に、保険金を支払うことを承諾した証券(A policy under which the insurance company promises to pay a benefit upon the death of the person who is insured)」として定義されている。
法律・経済学上では主に、財務損失(Financial Loss)に対して備えるリスクマネジメント方法の一種です。 保険は一定の費用を支払い潜在する損失のリスクをある実体集合的に平均移転するもので、つまり、偶然に発生する事故(保険事故)によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭(保険金)を給付する制度です。
簡潔に言えば、ある団体に加入し「共通の危険を多数の人たちで分担する」ことを、貨幣形式で社会のリスクと平均的に移転するシステムであると言えます。
現代の社会保険制度は19世紀のドイツの初代宰相オットー・フォン・ビスマルクによって社会主義運動の一環として労働階級保護制度として制定されました。その後、ヨーロッパ各国で同様の運動が起こり、今日の現代社会には無くてはならない制度となりました。
一方、香港ではイギリスの影響下で国際金融セクターとして発展してきたことから、現在でも投資性を備えた保険商品が年々開発されています。

保険でリスク管理入門

個人や企業のリスクマネージメント(危険管理)の最終目標は、損害・損失の予防と保障の2つに分類することができます。

損失予防目標Pre-loss Objective

ビジネスの世界で「リスクをヘッジする」と常用されていますが、将来生ずるであろうリスクによる損害や損失をヘッジ、つまり保険で保障していくことを以下の3つの損失予防目標(Pre-loss Objective)として、明確にすることは重要であります。また、個人の損失予防目標に関しては1と2だけの適用となります。

  1. 最も経済的な方法で潜在的損失に備える。
  2. 潜在する損失に対する不安を軽減する。
  3. 法律や規則上の適法性を満足する。例えば、営業資格の喪失。※これは個人には適用されません。

損失回復目標Post Loss Objective

損害・損失が一旦発生してまったあと、個人や企業は損失回復目標(Post Loss Objective)として、以下5つの問題を復旧への命題として考慮しなくてはいけません。

  1. 損失が発生した後、いかに生存するか
  2. 損失が発生した後、合理的な時間内に一部あるいは全部のオペレーションを復旧することができるか。近年で言えば、タイの洪水被害でいかに現地工場を正常状態に戻すためのリスク管理目標の策定
  3. 損失が発生した後、企業では収益、個人では生活をいかに安定させることができるか
  4. 損失が発生した後、企業では成長させることができるか
  5. 損失が発生した後、企業では取引先など、個人では身内などをはじめとする第三者に対する悪影響を最も抑えることができるか

ちょっと一息。保険の歴史、生命保険と損害保険

人々が災害や様々な事故が発生してしまいそうなときに経済的に損害に備えて危険を回避するために、予め一定の金銭を共同で保険というシステムで積立ておきます。その後、事故にあった人に損害を補償してあげるように一定の金額を支払う制度となります。保険者(保険会社)とは、保険業法に従って政府の許可を得て保険事業を営む会社であり、その営業許可を所得する種目により生命保険会社と損害保険会社に分類されます。
日本の保険は「生命保険」と「損害保険」に分けられており、生命保険は「人の生死を保険事故」として扱い、損害保険は「人の生死以外(物の損害)を保険事故」として扱う保険のことをさします。保険金も「生命保険は定額の保険金を支払う」のに対し、「損害保険は損害を填補する分の保険金を支払う」という違いがあります。
今も昔も人の命が尽きる時期は予測不可能なため、あらゆる場面や生活で一定の制約を受けてきましたが、保険の歴史はそういう意味で人類の歴史と共に歩んできたと言っても大言壮語ではなく、歴史は古くから存在しています。紀元前3000年現代のイラク南部バビロニアには「陸上冒険貸借」と言われる保険と類似した交易がありました。船主や貨物主が船舶などに抵当をつけ貸金業者から資金を借りたのち、航海中に事故が発生し被害を受ければ返済義務が免責される上に、無事に航海が終了した場合には元利に高率の利子をたしてくれる制度でありました。現代の損害保険と性質が類似しているといえます。
生命保険も長い歴史を持っています。13~14世紀ごろヨーロッパでは構成員の死亡による経済的損失を共同で救済する「ギルド(Guild)」という制度がありました。
一方、日本でも鎌倉時代の「無尽(むじん)」や室町時代の「頼母子講(たのもしこう)」と呼ばれる、「相互扶助」の仕組みもありました。「拗銀(なげがね)」といった、「陸上冒険貸借」に相当するような仕組みももっていました。
では、日本では、近代的な保険制度はいつ始まったのでしょうか。
日本にはじめて近代的な保険制度を採用したのは福沢諭吉といわれています。1867年に著書の「西洋旅案内」において「人の生涯を請合うこと」として生命保険を紹介しています。その後明治時代の財界人によって多数の保険会社が設立され、日本生命や東京海上といった生命保険会社や損害保険会社が営業を継続しています。
日本の会社の名称は、生命保険会社は「○○生命保険」となっていますが、損害保険会社は、海上保険か損害保険かのどちらの業務を主にしていたかによって「○○海上火災保険」か「○○火災海上保険」の2種類があります。