タックスヘイブン税制 /Tax Haven Counter Measure

香港にはイギリス時代から完備された法体系や特に法人税を安くあげるために、企業が多く法人設立し、さらに香港株式市場で上場もはたしています。一般的に「タックスヘイブン」または、「オフショア取引」という言葉が最近よく使われますが、タックスヘイブンというのは、税金がほとんどかからない国、地域のことであり、後述する日本の法律による規定により、アジアでは香港やシンガポールがタックスヘイブンに該当します。日本では税率の低い国にある子会社などを利用して所得を移すことによる租税回避行為の防止を目的として、タックスヘイブン対策税制が規制の網がかけられ容易な租税回避は行えないようになっています。

タックス・ヘイブンとオフショア取引 Tax Haven & Offshoring

「オフショア取引」というのは、タックスヘイブンなどを舞台にして、外国人同士、外国企業同士が取引をすることを指しますが、タックスヘイブンやオフショア取引も、その大きな目的は課税を逃れることにあるのが共通するところです。

タックス・ヘイブン対策税制 Tax Haven

日本企業が国際化を進めるなかで税金コストの軽減のために、税率の低い国に所得を移転させることは、税務プランニングの基本の一つと言えます。タックスヘイブンというのは、税金がほとんどかからない国、地域のことであり、租税回避地という意味です。日本は所外国に比べ、法人税率が高いために、日本の企業が直接、国際取引をせずに、税負担の低い国に子会社を設立し、その子会社を通じて取引をして、税負担を軽減する方法は十分に考えられます。
しかし、タックスヘイブンに本籍を有していても、実質的にその地で事業を行っておらず、もっぱら日本で活動しているようなら、日本で税金を納めなくてはいけないといった、「タックスヘイブン対策税制」1978年度税制改正で導入され2010年にも大幅に改正されるに至りました。

そもそもタックス・ヘイブンの生まれた理由

ヘッジファンドと呼ばれる投資顧問会社の多くは、タックスヘイブンに本籍を置いていますが、このタックスヘイブンには、世界各国の税務当局が頭を痛めています。多国籍企業は規模が大きくなると、すぐにタックスヘイブンに移ってしまうためです。例えば、小さなケイマン諸島には約2万の企業が構えていますが、そのうちの半数はアメリカに関連する企業となっています。ここで、アメリカは年間約1,000億ドルもの税収を失っていると言われています。タックスヘイブンの主な国や地域は、南太平洋に位置しています。
そもそもタックス・ヘイブンが発生した理由は、これらの地域は財政基盤が弱く、大企業を誘致し物流の拠点として経済を活性化しようと目論んだ。そして、大富豪に住んでもらい、多額の資金を使ってもらおうと考え税金を安く設定したのだが、結果、節税のために籍だけを置く企業や富豪が相次ぎ当初の目論見とは若干違った格好になってしまいました。ただ、登記費用などでそれなりに税収を得ることができるし、企業もある程度お金を落としてくれるということで、大国にとっては多額といえないが、南太平洋の小国にとっては財政基盤になるほどの大金となっています。

タックス・ヘイブン対策税制の合算課税と二重課税 Double Taxation

ヨーロッパを初めとする世界各国の法人税率の引き下げによりタックスヘイブン対策税制が日本の投資家や企業家にとって海外進出の足かせとなってきています。タックスヘイブン対策税制を理解することは海外進出する上で非常に重要となります。
日本の親会社は本来1,000万円の課税所得で、本来は税率40%の400万円を納付することになっていました。しかし、600万円を香港のような軽課税国にある子会社に移すことを考え、日本の親会社の課税所得は400万円に利益を圧縮に成功し、税率40%の税金160万円となるように考えました。
ところが、「タックスヘイブン対策税制」の対象となる取引と税務当局から指摘を受けた結果、香港に移転した分の所得60万円も合算され、結果的に1,000万円の所得に対して課税されることになりました。この場合、税率16.5%の香港の外国子会社が納税した税額99万円は、事後的に日本の親会社の税額から控除することにより、香港の所得600万円に対する二重課税が起こらないようにするといった煩雑な手続きになります。
このタックス・ヘイブン対策税制に対象となる日本居住者である個人や法人については以下の要件に該当する場合、対策税制に対象となり節税効果がないことになります。

  • 海外または地域に所在する子会社の税の負担率が20%以下になること。ここで、該当するアジアでは香港、シンガポールとなります。※OECDは一定の基準に基づくタックスヘイブン該当国の基準が異なります。
  • 日本の法人及び個人(日本居住者)に、発行済株式の50%以上を直接または間接に保有されるいること。

以上からわかるように、香港で会社設立する場合には、株式の持ち分割合はもちろん、株主が日本の居住者か、日本の法人であるかどうかによって香港で大きなビジネスに発展した場合には、日本での節税効果が期待できないものになるので注意が必要です。