世界市場動向:テック株の調整でリスク回避姿勢が強まる
先週の世界市場では、ハイテク株の値動きが不安定となり、投資家のリスク選好は後退しました。年初からの急上昇を受けてバリュエーションの割高感が意識されたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言や経済指標を通じて、今後の金利動向を見極めようとする姿勢が強まりました。
10月の米ISM非製造業景況指数は上昇したものの、他の指標では労働需給の緩みが示唆されました。米長期金利は小幅に上昇し、特にハイイールド債(低格付け債)ではクレジットスプレッドの拡大が見られました。株式市場では、米国株が下落、欧州のユーロ・ストックス50も軟調でした。
アジア市場も不安定な値動きが続き、日本の日経平均株価と韓国のKOSPIはともに直近高値から反落。インドのSENSEXも祝日が多い週となり下落しました。一方、中国・香港市場は堅調で、上海総合指数と香港ハンセン指数はいずれも上昇しました。
商品市場では、原油価格が世界的な供給過剰懸念の再燃で下落しました。
中国の貿易統計:輸出が8カ月ぶりの減少
10月の中国輸出は前年比▲1.0%と、2月以来初のマイナスとなり、市場予想(+2.9%)を大きく下回りました。月初の米中関係の緊張や前年の高い比較水準が影響しました。対米輸出は▲25%と引き続き大幅減少し、対EU・韓国・日本向けも予想以上に落ち込みました。
ハイテク製品の輸出伸び率も前年+12%から+2%へと急減速。一方、輸入は前年比+1.0%の小幅増にとどまり、ハイテク関連の輸入も+14.1%から+3.0%へと減速しました。これも米中貿易摩擦の影響とみられます。
今後は、最近の米中貿易協議の枠組み合意が一定の支えとなる見込みですが、年初の前倒し需要(フロントローディング)の反動減が圧力になる可能性もあります。また、中国国内で進む「反内巻化(反過剰競争)」政策は一部の資源輸入に下押しリスクを与えるものの、現時点で実体経済への影響は限定的と見られます。
こうしたマクロ環境を踏まえると、中国当局が内需拡大策をさらに強化することが市場の支援材料になると考えられます。
香港経済:2025年の成長見通しを上方修正
香港の経済成長見通しを、2025年は2.5%から3.2%へ、2026年は2.1%から2.4%へと上方修正しました。これは、2024年第3四半期の実質GDP成長率(前年比+3.8%)が予想を上回ったためです。
今後も比較的堅調な貿易動向が経済を下支えし、米中間の協定も追い風になる見込みです。また、第2四半期以降は小売売上高が回復傾向にあり、米FRBの利下げ再開を受けて住宅市場の安定化や株式市場の上昇による資産効果が消費を押し上げるとみられます。
さらに、「第15次5カ年計画」や最近の香港政策演説で示されたように、香港は引き続き中国本土および国際社会との連携強化を重視しており、国際金融・貿易ハブとしての地位を固める方針です。
加えて、フィンテックやテクノロジー分野の育成、イノベーション推進にも力を入れ、持続的な経済成長を目指しています。










