FRB追加利下げへの期待と金価格は過去最高値を更新
米国の追加利下げ観測とAI(人工知能)分野への高い期待感を背景に、市場のポジティブなムードが続いている。一方で、米国内の政治的不透明感は高まっている。
米民間雇用(ADP)統計が予想を下回ったことを受け、米国債が買われ、米ドル指数は下落。市場では依然として2026年末までに0.25%の利下げが4~5回実施されるとの見方が根強い。
株式市場ではテクノロジー株が上昇をけん引し、S&P500、ユーロ・ストックス50、日経平均225はいずれも過去最高値を更新した。アジア市場も第4四半期のスタートで堅調に推移し、韓国のコスピ指数と香港のハンセン指数が上昇。インドのセンセックス指数もインド準備銀行(RBI)の追加緩和シグナルを受け小幅高となった。中国・上海総合指数も国慶節(ゴールデンウィーク)休暇前に上昇して取引を終えた。
商品市場では、供給過剰への懸念が高まり原油価格は下落した一方、金価格は史上最高値を更新した。
金価格が過去最高値を更新 年初来で48%上昇、ドル安と安全資産需要が追い風
金価格は10月に入り過去最高値を更新し、年初からの上昇率は48%に達している。これは複数の好材料が重なった結果だ。
まず、米ドル安が金相場の上昇を後押しした。加えて、米国債利回りの低下、ETFによる買いの増加、各国中央銀行による金の継続的な購入、そして経済・地政学的な不確実性の中で高まる安全資産への需要が要因となっている。
さらに、米国政府の「シャットダウン(政府機関の一部閉鎖)」懸念が強まる中、投資家が金などの安全資産に資金を移していることも上昇を加速させている。これは、政府サービスの一時停止や経済指標発表の遅延、市場の変動性上昇などへのヘッジ手段としての動きだ。
今後数カ月にわたって、これらの要因が金市場の上昇トレンドを支えると見込まれ、2026年前半にかけて強含みの展開が続く可能性が高い。
ただし、金価格がすでに高水準にあるため、短期的には変動が大きくなるリスクもある。それでもなお、金は短期・中長期いずれにおいても強気(ブル)見通しが維持されており、グローバルリスクに対するポートフォリオ分散の有効な手段として引き続き注目されている。









