「米利下げ期待とAI相場」世界市場が再び上昇ムードに ― 日本株・中国株にも追い風
リスク資産市場は、今週の米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ観測を背景に、全体的に堅調な動きを見せました。
ドル指数(DXY)は上昇した一方、米国債は米政府閉鎖の影響で統計発表が限られるなか、米CPI(消費者物価指数)公表を前に狭いレンジでの取引となりました。
英国債(ギルト)はディスインフレ進行の兆しを背景に相対的に堅調でした。米国およびユーロ圏の社債スプレッドは安定しています。
株式市場では、米国株が第3四半期決算の好調な結果を受け上昇し、欧州のユーロストックス50も堅調に推移。
日本では、円安進行と高市早苗新首相による財政出動への期待から、日経平均株価が急伸しました。
アジア市場も好調で、韓国のコスピは史上最高値を更新、インドのセンセックスも上昇基調を維持しました。香港ハンセン指数も、直近の下落分を一部取り戻しています。
商品市場では、地政学リスクを背景に原油価格が上昇する一方、金価格はやや調整しました。
中国の新データに明るい兆し ― 政策支援とテクノロジー分野が下支え
中国では、先週の第20期四中全会を前に発表された経済データが市場に安心感を与えました。
2024年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比4.8%と、第2四半期の5.2%からはやや鈍化したものの、政府の「約5%」成長目標を達成できる見通しです。
製造業活動は堅調で、米国向け輸出が急減している一方で(現在は全体の約10%に低下)、輸出先の多角化や競争力強化の成果が現れています。
内需の弱さという構造課題は残りますが、政府はテクノロジー・イノベーション・インフラ分野に重点を置いた新たな資金支援策を進めています。
企業収益の見通しも改善傾向にあり、2026年の利益成長期待はプラスに転じています。
特にAI活用やテクノロジー国産化、バイオテクノロジー、資源開発といった分野が今後の注目テーマです。
株価は今年大きく上昇した後、10月にはやや調整しましたが、株価収益率(PER)は5年平均水準に戻り、割高感は薄れています。
今後は、構造改革の進展と政策支援が市場の下支え要因になると見られます。
米企業決算は好調 ― AIが収益拡大を牽引、強気相場は続くか
10月24日時点で、S&P500採用企業の約29%が第3四半期決算を発表しており、そのうち87%が市場予想を上回りました。
一株利益(EPS)の成長率は、9月末時点の予想7.9%から9.2%へと加速しています。
今後も企業利益率の上昇が見込まれ、第4四半期の12.8%から2026年第2四半期には13.7%へと改善する予想です。
一時的な市場調整や政策不透明感はあるものの、強気相場が終わる兆しは見えません。
AI(人工知能)関連投資がコスト削減・生産性向上・利益率改善を支えており、米国株の長期成長期待を一段と強めています。
今週発表予定の大手テック企業(いわゆる「Big Tech」)の決算は、AI主導の上昇相場を左右する重要なカギとなりそうです。










