米利下げ観測が強まり、リスク選好が継続、日銀の12月利上げ観測も浮上する中、市場は神経質な展開
世界の金融市場では、依然としてリスク選好ムードが続いています。米国の労働市場が弱さを示したことで、今週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げが実施されるとの見方が強まりました。市場では今後1年間で3〜4回の0.25%利下げが織り込まれています。
米ドルは主要通貨に対して下落する一方、米10年国債利回りは方向感のない動きが続いています。
日本では、**植田日銀総裁のタカ派発言(利上げを示唆する発言)**が国債価格の重しとなり、12月利上げ観測が意識されています。
株式市場では、米国・欧州が幅広く上昇。日本株はテクノロジー関連がけん引し、日経平均も堅調。一方でアジア市場はまちまちで、韓国(KOSPI)は上昇したものの、香港(ハンセン)や中国本土(上海総合)は小動きにとどまりました。インドのセンセックスは弱含みましたが、新興・フロンティア市場は堅調でした。
週最大の焦点:FOMCの12月会合、注目は利下げよりも「ドットチャート」
今週のFOMCでは、3会合連続となる0.25%利下げが予想され、政策金利は3.50〜3.75%へ下がる可能性が高いとみられます。
11月のADP雇用統計で民間雇用が 3.2万人減 と大幅な落ち込みを見せ、市場は12月利下げを86%織り込みました。
しかし、今回注目すべきは利下げそのものよりも、新しいドットチャート(金利見通し)です。
2026年にかけて、追加利下げなしから1%(100bp)の利下げまで、メンバーの見通しが大きく割れる可能性があります。
当レポートでは、米景気の底堅さと粘着性のあるインフレを背景に、2026〜2027年は政策金利は据え置きとの見方を維持しています。
また、量的引き締め(QT)に関する新たなガイダンスも焦点。FRBは2026年第1四半期に短期国債(T-bills)の購入を増やす可能性があり、資金市場のひっ迫を緩和する狙いと考えられます。
インド準備銀行(RBI)、市場予想通り利下げ、流動性供給を強化し、来年以降の追加利下げ余地も
インドでは、中央銀行であるRBIが市場予想通り、政策金利(レポ金利)を0.25%引き下げて5.25%としました。
さらに年末にかけて
·政府債OMOs(公開市場操作)1兆ルピー規模の買い入れ
·3年物の米ドル/ルピー・スワップ(50億ドル)
を実施し、最大1.45兆ルピーの流動性供給が見込まれています。
インフレと成長見通し
·インフレは FY26で60bp、FY27上期で50bp 下方修正
·最近3カ月のコアインフレは3%未満
成長率は FY26 GDP見通しが6.8%→7.3%に上方修正(2Qが予想以上に堅調)
ただし、輸出の弱さや、財政引き締めが進む中で、来年3月期にかけて成長はやや減速するとの見方です。
中期的には、緩やかな成長・低インフレ・財政の引き締めが重なり、2026年にはさらに利下げ余地が生まれる可能性があります。









