世界市場は堅調、米政府再開と好調な決算が追い風に
米政府機関の再開により市場心理が改善し、リスク資産は堅調に推移しました。米企業の第3四半期(Q3)決算も全体的に強い内容が続いています。
米ドルは主要通貨に対して弱含みとなり、米国債は12月の利下げ観測が後退したことで利回りが小幅上昇しました。
欧州では政治不透明感が後退したことでフランス国債(OAT)が買われ、英国では弱い雇用指標が材料となりギルトが上昇。クレジット市場ではハイイールド債が投資適格債を小幅にアウトパフォームしました。
株式市場では世界的に上昇基調が続き、米国株はまちまち。ナスダックはS&P500を下回りました。一方、欧州のユーロ・ストックス50は過去最高値を更新しました。
日本のTOPIXは前週の下落後、ほぼ横ばい。アジアでは香港ハンセン指数が大きく上昇し、韓国KOSPIがこれに続きました。インド(Sensex)や中国(上海総合指数)も堅調でした。
商品市況では原油が横ばいのなか、金が上昇しました。
Q3決算:米・欧・アジアで総じて好調、テックに過度な期待感も
米国の第3四半期決算は終盤に入り、欧州とアジアも本格化しています。中国を除けば、米・欧・日・新興国の多くで予想を上回る堅調な結果となっています。
S&P500採用企業のQ3利益成長率は前年比13%増と見込まれ、決算シーズン前の8%予想から大幅に上振れしました。
特に注目された米大型テック株は、AI関連投資の過熱感があったものの、強い設備投資(CAPEX)に支えられ期待を上回る結果に。意外なところでは、ヘルスケアや生活必需品など「ディフェンシブ(守り)」のセクターが最も大きく予想を上回りました。
ただし、市場はAI関連の巨額投資の持続性や、労働市場の強弱が混在する状況を受け、ボラティリティ(変動性)が上昇しています。2026年は利益が堅調でも、米株市場では一時的な荒れが常態化する可能性があります。
来年は各国利益成長とGDPの収れんが進み、地域分散投資がリターン最大化と米国・AI関連リスクの抑制に有効となりそうです。
中国:10月の各種指標が軟化、景気回復はまだら模様
中国の10月経済指標は、広い分野で勢いの鈍化が確認されました。
小売売上高:前年比+2.9%と伸びが鈍化
特に耐久財が弱く、自動車販売が6.6%減となったことが大きく影響。自動車を除けば小売は4.0%増。
工業生産:前年比+4.9%と予想を下回る
輸出減や国慶節前の前倒し生産の反動が響きました。
固定資産投資(FAI):年初来で前年比1.7%減
製造業・不動産・インフラ投資が軟調。不動産投資は前年同月比23%減と最大の重荷に。住宅販売は昨年5月以来の速いペースで減少(▲19.6%)。
全体として、中国経済の回復は依然として不均一で、財政政策による支援を維持する必要性が浮き彫りとなりました。ただし、大規模刺激策ではなく、構造問題への「選択的・ターゲット型の支援」が中心になる見通しです。
短期的には、12月の政治局会議および中央経済工作会議の政策方針が、2026年の経済政策の方向性を決める重要イベントとなります。











