リスク資産は伸び悩み、米金利引き下げ期待が後退
先週の金融市場では、リスク資産が方向感を欠く展開となりました。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「インフレと労働市場の双方にリスクがある」と発言したことで、米国での大幅な利下げ期待が後退しました。
その結果、米ドルは主要通貨に対して上昇。一方、金価格は新たな高値を更新しました。米10年国債利回りは小幅上昇し、短期金利は下落。市場では2026年末までに合計1.0%(0.25%×4回)の利下げが織り込まれています。
米国およびユーロ圏の投資適格(IG)社債スプレッドはやや拡大しましたが、依然として歴史的な低水準にあります。株式市場では米国株が全般的に下落し、特にハイテク株の弱さがナスダック指数を押し下げました。ユーロ・ストックス50は小幅安となる一方で、日本の株式市場では円安を背景に日経平均が再び史上最高値を更新しました。
新興アジア市場ではまちまちの動きとなり、韓国のKOSPIが下落する一方、中国の上海総合指数とインドのSENSEXは上昇しました。商品市場では、地政学リスクへの懸念が続く中、原油価格が上昇しました。
今週の注目:米雇用統計と政府閉鎖リスク – 雇用の減速と政治的混乱が市場の焦点に
今週の米国では、金融市場に影響を与える可能性がある2つの重要イベントが控えています。
1つ目は、10月3日に発表予定の9月雇用統計です。
非農業部門雇用者数は8月の改定値(+2.2万人)から+6万人程度の小幅回復が見込まれており、失業率は4.3%で横ばいと予想されています。とはいえ、依然として雇用の勢いが鈍化していることを示す内容になる可能性が高く、市場参加者は労働市場の弱さを注視する見通しです。
2つ目は、米政府の一部閉鎖(シャットダウン)リスクです。
議会が10月1日までに歳出法案で合意できなければ、政府機関が一時停止に追い込まれる可能性があります。市場では現在、約80%の確率で政府閉鎖が発生すると見込まれています。議会の与野党対立が続き、交渉期限が迫っているためです。
米議会予算局(CBO)は、政府閉鎖が1週間続くごとに四半期のGDPが0.1~0.2%押し下げられると試算していますが、過去の例では、閉鎖による市場への影響は限定的で、短期的な株価の下落後は速やかに反発する傾向があります。
米PCEインフレ率は2.7%に上昇、年内2回の利下げ予想強まる
10月と12月の連続利下げを市場が織り込み
8月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年比+2.7%と、7月(+2.6%)から小幅上昇し、市場予想通りの結果となりました。個人消費は前月比+0.6%と堅調で、内需の底堅さを示しました。
これを受けて、市場では10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げ実施確率が83.4%まで上昇。FRBが10月と12月の2会合連続で利下げを実施するとの見方が強まっています。









