リスク資産は堅調、米早期利下げ観測が強まる中で株式市場は上昇
世界的な貿易摩擦が続く中、米国の雇用統計が市場予想を下回ったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が一段と高まりました。それにもかかわらず、リスク資産は底堅い動きを示しました。米ドル指数は下落した一方、米国債利回りは最近の急低下や入札結果の弱さを受けた後、小幅反発しました。米国およびユーロ圏のクレジットスプレッドは縮小しました。
先進国市場では、米国株式が全面高となり、欧州のユーロ·ストックス50や日本の日経平均株価も上昇しました。アジア市場では、ハイテク株の堅調さを背景に主要株価指数が軒並み上昇し、韓国KOSPIが最も大きく上昇、次いで中国本土の上海総合指数、香港ハンセン指数が続きました。インドのSENSEXは地域全体の流れに逆行し、小幅安となりました。南米ではブラジルのボベスパ指数も上昇しました。
商品市場では、原油価格が下落する一方、金価格は週間ベースで小幅な上昇となる見通しです。
米CPI発表に注目、9月利下げはほぼ確実との見方
市場では、予想を下回った雇用統計をきっかけに金利見通しが修正され、今週火曜日(米7月CPI発表)に注目が集まっています。
関税引き上げによる物価への影響は、8月および9月のデータから徐々に顕在化すると予想されます。CME FedWatchツールによると、9月利下げの確率は88.4%に達しており、7月FOMC直後の47%から急上昇しました。FRBが9月、12月、来年3月にそれぞれ利下げを行うと予測しており、「利下げ開始は時間の問題」とみています。
中国の物価動向と新産業への影響
中国では、政府による「反内巻(アンチ・インボリューション)」政策の価格への影響はまだ明確ではありません。7月の総合CPIは前年比横ばいとなり、食料品とエネルギー価格の低下が重しとなりましたが、コアCPIは前年比+0.8%まで改善しました。これは政策支援が消費を下支えしていることを示しています。
生産者物価指数(PPI)は依然として-3.6%のデフレ圏にありますが、これは需要の弱さに加え、供給側改革が進行中であることも背景にあります。供給側の詳細なアクションプランはまだ策定中であり、価格への本格的な影響は年後半から現れると見込まれます。当社では、今回の供給側改革と需要喚起策により、非効率な生産能力が淘汰され、価格が適正化すると考えています。
特に、EC、太陽光発電、リチウム電池などの新産業で競争が緩和され、過剰供給が抑制されることで、国内の有力企業の収益性改善が期待されます。











