エネルギー株がS&P500を牽引、ビットコインやAI関連も好調
先週はエネルギーセクターが原油価格の上昇を背景に、S&P500で週次1.6%の上昇と最も好調でした。続いてインダストリアル(+0.5%)が上昇する一方、生活必需品(-1.8%)や金融(-1.5%)は下落しました。
AI分野を牽引するNvidia(NVDA)は、時価総額が初の4兆ドルに到達。中国向けH20チップの規制による影響を受けつつも、7月中旬にCEOジェンスン・フアン氏が北京を訪問し、現地向けBlackwell RTXの展開を計画していることが期待感を高めています。
ビットコインは最高値を更新し、Coinbase(COIN)とMicroStrategy(MSTR)はそれぞれ約9%と8%上昇。CoinbaseはDeFiプロトコルOpynの主要チーム買収も完了しました。
週末の通商リスク:関税発表と市場の反応
週末には、米国のトランプ前大統領が8月1日からEUおよびメキシコに対し30%の関税を課すと発表。EUは対抗措置の発動を8月初旬まで延長すると表明しました。2024年にはEUと米国の貿易額が約9,760億ドルに達しており、両者に交渉のインセンティブがあると考えられます。
米国株は過去の関税発言に比べ反応が鈍くなってきたものの、先週末には一部の株が調整し、ドルは2月以来の上昇幅を記録しました。
今後の関税動向はより不安定で高水準になる可能性が高く、経済への逆風にもかかわらず、当社では世界経済と企業収益の成長は継続すると見ています。そのため、依然として投資を維持しつつ、質の高い資産・分散・アクティブ運用を重視します。
今週の注目:インフレ指標と決算シーズン本格化
今週は、米連邦準備制度理事会(FRB)の7月後半の政策決定を控え、インフレ関連指標に注目が集まります。火曜日の6月CPIは前年比+2.6%と予想され、コアCPIは+2.9%が見込まれています。水曜にはPPIが発表され、木曜には小売売上高とベージュブックが公開予定です。
市場全体では、米企業の第2四半期決算発表を前に慎重なムードが広がっています。米ドルは堅調で、米国債は安定。欧州の社債スプレッドは縮小する一方で、米国IG/HYスプレッドは拡大しました。株式市場では、S&P500が高値圏を維持し、ユーロストックス50やFTSE100が上昇。日本のNikkei225は財政不安と選挙を前に下落しましたが、韓国のKospiを中心にアジア株は堅調。中国株も上昇する一方、インドのSensexは下落しました。ブラジルのボヴェスパも成長懸念と関税不安で下落。金と原油は方向感に欠ける展開でした。
第2四半期決算と今後の見通し
第2四半期の決算は今週本格化。第1四半期は関税前倒しの影響で前年比13%成長と好調でしたが、第2四半期は5%の緩やかな伸びが予想されています。企業は当面関税を吸収し市場シェアを維持する動きが見られ、利益率は平均12.8%と高水準を維持。今後は利益率のさらなる上昇は難しいかもしれません。
一方で、Nvidiaが4兆ドルに到達したことで、テックと通信分野が2025年の利益成長の6割以上を占めることを改めて認識させられました。ただし、バリュエーションと利益率がすでに高水準にあることから、今後の予想を上回るには難易度も上がると見られます。米国株の魅力は依然として大きいものの、ドル安や利益成長の鈍化を背景に、投資家はグローバルに視野を広げることが求められるでしょう。