第2四半期の米国経済は予想を上回るペースで拡大し、GDPは年率2.8％増となりました。インフレ圧力も緩和を続け、9月のFRB利下げ観測が強まりました。コア国債は先週、レンジ相場で推移し、短期国債は小幅高で終わりました。株式市場は不安定な動きを見せ、特に米国のメガ・テクノロジー株は大きく売られました。S&P500とナスダック指数は大きな打撃を受けた一方、小型株のラッセル2000は上昇しました。欧州では、ストックス・ヨーロッパ600指数がまちまちの決算ニュースを受けて小幅に下落しました。アジアでは、インドのSENSEXが序盤の軟調を覆して上昇し、中国の上海総合指数は景気回復の遅れに対する懸念から下落しました。コモディティ市場では、原油が3週続落し、金と銅も下落しました。

今年の市場の動きは、例外的に低いレベルのボラティリティによって特徴づけられています。株式市場のボラティリティを示す指標のひとつであるVIXは、過去5年間の平均が21.2であったのに対し、2024年の平均は13.9です。しかし、最近VIXは一時19.2まで急上昇しました。下半期が進むにつれ、より不安定な市場環境が生まれる可能性があります。ここ2週間ほどの動きを見ると、米ハイテク株はバリュエーションが引き伸ばされており、このセクターの業績やニュースの流れに大きく影響を受けやすい状況です。

経済の背景は依然として堅調ですが、制限的な政策が住宅や製造業の活動、およびクレジットへのアクセスに依存する低所得世帯の消費を減衰させ続けているため、さらなる冷え込みが予想されます。最近の好材料にもかかわらず、今後数四半期にわたるFRBの緩和幅が不透明なため、ディスインフレの道筋は凸凹したままでしょう。地政学と政治も重要な要素です。グローバルな環境は予測しにくくなっています。また、米国の選挙前には株式市場のボラティリティが上昇するのが通例です。今後の展開に注目しましょう。

ハイテク大手の財務報告書からチャンスを探る
テスラ、グーグル、ネットフリックスの最近の決算報告は株価下落につながり、主要ハイテク銘柄の間で「Sell in News」に対する懸念が高まっています。市場の反応は厳しく、企業が予想を上回った場合でも、決算後の株価パフォーマンスは総じて低迷しています。

ファクトセットのアナリスト、ジョン・バターズ氏は、エヌビディア、アマゾン、メタ、グーグルなどの「マグニフィセント・セブン」銘柄が、第2四半期のS&P500の利益成長を牽引すると予想しています。

市場は現在、マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンの今後の決算報告を注視しており、これらのハイテク大手が決算後の下落という現在のトレンドを打破できるかどうかを見極めています。主な注目点は、より広範なAIトレンドが成長を維持する可能性や、これらの企業の設備投資や利益率に関する議論などです。

マイクロソフト: クラウドサービスの成長とAzureの業績に注目。特にAI投資に関する2025年度の見通しが重要です。
メタ: アナリストは、AIの改善とユーザー数の増加に支えられたメタの広告事業について楽観的です。新AIモデル「Llama 3.1」のローンチも注目されますが、AIへの多額の投資は利益に影響を与える可能性があります。
アップル: 著名アナリストのMing-Chi Kuo氏は、iPhone 16の受注増を観測しておらず、TSMCの決算報告でも「スマートフォン」分野の加速は見られないとの見解を示しています。アップルの重要課題は、iPhone需要、AI投資、今後のガイダンスなどです。最近の株価上昇は、AIを搭載した次世代携帯電話への期待によるものです。
アマゾン: 株価は最近、時価総額2兆ドルを突破しました。アマゾンの今後の決算報告では、AWS部門の業績、特にAI関連サービスへの強い需要が注目されそうです。アナリストはアマゾンのクラウド収入と広告売上の伸びについて、さまざまな予想をしています。