世界市場はポジティブリスク志向、FRBは予想通り利下げ
先週の金融市場はポジティブリスク志向が継続し、米連邦準備制度理事会(FRB)は市場予想通り0.25%の利下げを実施しました。パウエルFRB議長は、今回の政策緩和を「リスク管理上の判断」と位置付け、雇用への下方リスクの高まりを反映したものだと説明しました。
ドル指数(DXY)は週初の軟調から回復し、週末にかけて横ばいで推移。金価格は再び過去最高値を更新しました。米国債利回りはやや上昇し、10年物と30年物の利回りが反発しました。欧州国債はレンジ内で推移、米国およびユーロ圏のクレジットスプレッドもタイトに維持されました。
株式市場では、S&P500やナスダックなど米国主要株価指数が史上最高値を更新。テクノロジー株の堅調な動きが牽引しました。欧州のユーロストックス50や日本の日経225も上昇。他のアジア株式市場も概ね上昇しましたが、中国の上海総合指数はやや下落しました。
日本銀行、政策金利は据え置きもETF・J-REIT売却開始
日銀は9月の会合で政策金利を0.50%に据え置き、市場の予想通りの決定となりました。しかし、これまでの4会合とは異なり、今回は2名が0.75%への利上げに賛成し、ハト派一辺倒ではなく慎重ながらもタカ派的な動きが見えました。
さらに日銀は、ETFを年間3,300億円、J-REITを年間50億円ずつ段階的に売却する方針を発表。規模は日銀の保有残高に比べれば小さいものの、2026年度から日本国債(JGB)の購入を四半期ごとに2,000億円減額する方針と合わせ、バランスシート縮小の加速を示すものとみられます。
当社の見通しでは、日銀は今年10月に0.25%の利上げを実施すると予想しています。第2四半期のGDP成長や8月のコアインフレ率の上昇が、追加利上げを支持する要因となります。ただし、国内政治も変動要因となり得ます。10月4日の新首相選出で政策スタンスが異なる候補者が対立しており、財政拡張の圧力も影響するため、国債はアンダーウェイトを維持。ETF売却規模は限定的で、日本株はニュートラルとしています。
米中首脳会談、貿易緊張緩和の兆し
先週金曜日、トランプ米大統領と習近平中国国家主席が電話会談を実施。両国は会談を「生産的」と評価しました。トランプ氏は、中国の人気SNSに関する長年の課題、10月末のAPEC首脳会議での会談計画、2026年初頭の中国公式訪問案などで進展があったと説明しました。
これらは米中貿易緊張のさらなる緩和の兆しとみられます。今後数か月で、関税に関する枠組みや米国の中国向け技術輸出規制の一部緩和が進む可能性があります。これにより、貿易不確実性の軽減、グローバルサプライチェーンの安定化、中国でのAI技術開発支援にもつながると考えられます。











