米FRBパウエル議長のジャクソンホール発言:9月利下げ観測強まる
FRBのパウエル議長は、ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウムにおいて、経済の基調見通しとリスクバランスの変化に応じて政策スタンスを調整する可能性があると発言し、市場は全体としてハト派的な内容と受け止めました。
パウエル議長は9月の政策金利引き下げに含みを持たせる一方、雇用に対する下振れリスクへの懸念も示し、関税の影響については消費者物価に一時的な上昇圧力を与えるにとどまるとの認識を示しました。
これを受けて金融市場は好感し、S&P500指数は1.5%上昇、米2年国債利回りは低下、ドルは0.9%下落しました。CMEのFedWatchによれば、9月FOMCでの25bp利下げ織り込みは約87%に上昇し、1か月前の約60%から大きく上昇しました。当社では9月に25bpの利下げを見込み、その後12月および来年3月にも25bpずつの追加利下げを予想しています。なお、9月会合までに注目すべき経済指標は、9月5日の8月雇用統計、9月10日の8月PPI、9月11日の8月CPIです。
中国半導体株が急伸:米国製AIチップ供給停止報道を受け
先週金曜日、中国の地場半導体株が大幅に上昇しました。これは、米国の大手半導体メーカーが、中国市場向けに設計されたAIチップの生産を供給業者に停止するよう求めたと報じられたためです。この報道を受け、中国の半導体需要は、米国による先端チップ輸出規制の一部緩和にもかかわらず、当面は自国製品に依存せざるを得ないとの見方が広がりました。
中国国内では安全保障上の観点から自給自足を強化する動きが加速しており、大手テック企業によるAI向け設備投資計画も、推論需要の大幅な増加を見込み、上方修正される可能性が高いとみています。
英インフレ率が予想上振れ:利下げ観測が後退
英国の7月の総合インフレ率は前年比3.8%(前月3.6%)と市場予想を上回り、4か月連続で上振れとなりました。特にサービスインフレは前年比5.0%(前月4.7%)と、コンセンサスを上回る伸びを示しました。輸送やホテル価格といった変動要因も影響した可能性はあるものの、7月のインフレ率は、8月会合での「タカ派的利下げ」後もイングランド銀行(BoE)が慎重かつ段階的な姿勢を維持する根拠を補強する結果となりました。
この結果、市場では11月の利下げ予想が大幅に後退し、月初の約67%から約24%へ低下しました。ただし当社の基本シナリオでは、BoEは今後も四半期ごとに25bpずつ利下げを継続し、2026年第3四半期に政策金利が3.00%へ到達すると見込んでいます。










