世界市場、早期利下げ観測でリスク資産が上昇
世界の金融市場は、米国の第2四半期決算シーズンの好調さと、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利下げへの期待感を背景にリスク資産が買われ、幅広く上昇した。
米国の7月コアCPI(消費者物価指数)はサービス価格の上昇により小幅に上昇したものの、モノの価格には関税関連の値上げはほとんど見られなかった。こうした中、米ドルは主要通貨に対して下落し、米国債利回り曲線は小幅にスティープ化。投資家は年末までに2〜3回の利下げを織り込んでいる。
米国およびユーロ圏のクレジットスプレッドは縮小し、ユーロ圏ハイイールド債が相対的に好調となった。株式市場では、S&P500が史上最高値を更新し、金利敏感株のラッセル2000も力強い上昇を見せた。欧州のユーロ・ストックス50や日本の日経225も上昇し、アジア市場ではインドネシア株が最高値を更新。香港ハンセン指数、インドSENSEX、中国上海総合指数も揃って上昇した。商品市場では、金価格が下落した一方、原油価格は横ばい推移となった。
今週の焦点:ジャクソンホールとFOMC議事要旨
市場は今週、8月21日から23日にかけて開催される「ジャクソンホール経済政策シンポジウム」に注目している。パウエルFRB議長は22日に基調講演を予定しており、米国経済の見通しと金融政策の方向性に関する発言が大きな関心を集めている。
さらに、7月開催のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨が21日に公表予定であり、関税がインフレや政策見通しに与える影響についてFRB内部の議論が明らかになると期待されている。
アナリストの間では、FRBが9月、12月、そして来年3月にそれぞれ25ベーシスポイントの利下げを行うとの予想が根強い。また、株式と債券の相関が低下する局面では、景気減速リスクのヘッジとして高格付け債券の有効性が指摘されている。
中国経済の減速鮮明に
一方、中国では7月の主要経済指標が軒並み市場予想を下回り、景気の弱さが浮き彫りとなった。
小売売上高:前年比+3.7%(予想4.6%、前月4.8%)
鉱工業生産:前年比+5.7%(予想6.0%)
固定資産投資(1〜7月累計):前年比+1.6%(予想2.7%)
小売は自動車販売やオフライン消費の鈍化が響き、鉱工業生産は2024年11月以来の低水準となった。固定資産投資も不動産関連の不振で伸び悩んでいる。
短期的には生産能力削減や貿易摩擦の不透明感が企業活動の重荷となる見通しだが、中国当局はこれまで需要喚起策を継続しており、今後も追加的な景気下支え措置が打ち出されるとの観測が広がっている。












