米雇用統計の下振れとFRB利下げ観測が市場に影響
先週は米国の7月雇用統計が大きく予想を下回り、投資家心理に影響を与えました。新規雇用は7.3万人と市場予想を大幅に下回り、さらに5月と6月の数字も下方修正され、雇用のモメンタムが弱まっていることが明らかになりました。この結果を受けて、9月FOMCでの利下げ観測が急速に高まり、CME FedWatchツールでは25bpの利下げ確率が89.1%に上昇しました。 加えて、FRB内での政策判断にも注目が集まり、ミシェル・ボウマン副議長やクリストファー・ウォラー理事が利下げを支持した理由として、労働市場の悪化を挙げています。トランプ大統領によるFRB批判や労働統計局長の突然の解任も、中央銀行の独立性や政策の不透明性を巡る市場の不安材料となっています。
世界の株式市場は全面的に調整、地域別に温度差も
米国株はS&P500が1.6%下落し、小型株のラッセル2000はさらに大きく下落しました。一方、ナスダックは一部のテクノロジー企業の好決算に支えられ小幅上昇。欧州株はまちまちで、ドイツやフランスの株価指数はやや弱含みました。アジアでは日本の日経平均や中国・香港を含む地域全体で株価が下落傾向にあり、地域通貨の下落が重荷となりました。 クレジット市場では、ユーロ圏のクレジットスプレッドが縮小したのに対し、米国のハイイールド債スプレッドは拡大。コモディティ市場では、原油価格が地政学リスクを背景に上昇したものの、金と銅は軟調でした。
中国経済は構造改革と政策支援で安定成長を維持へ
中国では、政治局会議が7月30日に開かれ、2025年後半に向けた景気支援策の継続と構造改革方針(供給側改革2.0)が再確認されました。これを受け、当社は2025年のGDP成長率見通しを4.5%から4.9%に、2026年を4.1%から4.6%に上方修正しました。 また、10月に予定される第4回中央全体会議(四中全会)では、第15次五カ年計画のレビューとテクノロジー自立・内需拡大・経済バランス改善を目指した長期政策が打ち出される見通しです。米中貿易協議も一定の進展が見られ、関税停止期間がさらに90日延長される可能性があります。 このような背景を踏まえ、中国株式は依然として割安感があり、政府の成長志向政策の下支えも強いことから、AIやインターネット関連銘柄、内需拡大企業、高配当株に対してポジティブなスタンスを維持しています。











