インド準備銀行が予想を上回る利下げ
インド準備銀行(RBI)は先週金曜日、予想を上回る金融緩和を実施し、市場にサプライズを与えました。市場コンセンサスが25ベーシスポイント(bp)の利下げを見込んでいた中、RBIは50bpの政策金利引き下げを断行し、加えて銀行の現金準備率(CRR)も引き下げることで、経済への支援姿勢を鮮明にしました。これは、インフレ圧力の緩和を背景とした措置と考えられます。
一方で、RBIは金融政策のスタンスを「緩和的」から「中立的」へと変更し、今後の政策判断は経済指標に依存する「データドリブン」なものになることを示唆しました。私たちは、今年12月にもう一度25bpの利下げが実施され、政策金利は5.25%まで引き下げられると予想しています。
また、RBIによる流動性供給の強化と政府への配当金支払いにより、2025年に入ってからインドの10年物国債利回りはすでに50bp低下しています。今後も、利回りは下落傾向を維持すると見ており、数ヶ月以内にさらに低下する可能性があると予測しています。
米国では、経済指標の弱さ(いわゆる「ソフトデータ」)を受けて米国債が買われ、債券市場は堅調に推移しました。一方、米ドルは主要通貨バスケットに対して軟調でした。ユーロ圏では、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を0.25%引き下げて「中立水準」とし、ラガルド総裁は夏季中の追加緩和の見送りを示唆しました。
信用市場では、米欧双方の投資適格債(IG)およびハイイールド債(HY)がともに底堅く推移しました。株式市場では、米国株が引き続き上昇し、「マグニフィセント7」と称される主要テクノロジー企業が上昇を主導しました。欧州株もこれに続く形で上昇を記録しました。
一方、日本市場はやや異なる様相を見せ、日経平均株価は横ばいで推移、日本国債(JGB)もおおむね安定した値動きとなりました。アジアの新興国市場では株価が広く上昇し、投資家心理の改善が見られたのに対し、ラテンアメリカ株式市場は軟調に推移しました。
商品市場では、原油価格と金価格がともに上昇し、安全資産およびインフレヘッジとしての需要が再び意識される展開となりました。