インドは高成長を維持
米国市場では、再び貿易動向が価格変動の主因となっています。先週金曜日、トランプ前大統領が「中国が貿易合意を破った可能性がある」と発言したことを受けて、市場は一時大きく動揺し、S&P500は一時1.2%下落しました。しかし、その後トランプ氏が習近平国家主席との対話に前向きな姿勢を示したことで、貿易摩擦緩和への期待が高まり、S&P500は結局、ほぼ変わらずで取引を終えました。
一方で、鉄鋼とアルミニウムの輸入関税について、トランプ氏は現行の25%から50%への引き上げの可能性にも言及しています。こうした不確実性が残る中でも、米国のインフレ指標は引き続き穏やかな推移を見せています。5月のPCE総合およびコアインフレ率はいずれも前月比0.1%の上昇にとどまり、デフレ圧力が継続していることが確認されました。
5月の非農業部門雇用者数が13万人の増加、失業率が4.2%で横ばいになると予想しています。依然として世界の貿易環境が不安定な中、多様化を通じた耐性あるポートフォリオ構築の重要性はますます高まっています。
一方、インド経済は、グローバルな不確実性にもかかわらず、成長の底堅さを示しました。第1四半期のGDP成長率は、固定資本形成の前年比9.4%増加に支えられ、7.4%と市場予想を上回りました。民間消費の伸びはやや鈍化したものの、純輸出の成長寄与度は改善傾向にあります。
今週予定されているインド準備銀行(RBI)の政策会合では、私たちは25ベーシスポイントの利下げが実施されると見込んでいます。企業利益の回復傾向や高い自己資本利益率(ROE)、安定した成長見通しが評価懸念をある程度緩和していると考えます。私たちは引き続き、インドの金融・医療・産業といった国内志向のセクターに対して強気のスタンスを維持しています。